BC SHORT Back Country Short Ski Mountaineering

カテゴリー: 中部地方 (Page 1 of 2)

“53× RIDGEs” ~前代未聞のユニークなチャレンジ?!

これは
BC SHORT®のパイオニア/主宰である
田中ゆうじんが
ニッポンの雪山の「尾根(RIDGE) x 53本」を
1シーズンで達成する
前代未聞でユニークなチャレンジ
(2024.11.27)

▢WHAT’s the “53× RIDGEs”
BC SHORT®(99cm規格のバックカントリー向けに製作した
オリジナルのスキー板で山を登り降りするスポーツ・アクティビティ)
主宰の田中ゆうじんが、
スタートしてから10周年をむかえる2024‐25シーズンに
主流規格の長いSKIに不向きかつ
非常識でだれもが選択肢でさえなかった
「尾根滑り+藪滑り」
という特異性を生かし
さらに自身の年齢と掛けて
53本の尾根を登って+滑降するチャレンジである。

▢CONTENTS/rules
53本を効率的に達成するというよりは、
北アの厳冬期で、標高差2200Ⅿもあれば
残雪期の里山の支尾根、標高差100Ⅿもあるなど、
その尾根の持つ魅力や美しさなど、妙味のある
尾根を主観で選別することに重点をおく53本とする。

また、一本の尾根の達成に要する時間は問わないし、
ゲレンデ横の尾根(サイドカントリー)や
その他アクセス効率をあげることが可能な山であれば、
リフトやe-bike等を使用することもあるし、
登りにおいては、尾根以外に
別ルートを選択することもありとする。
さらに同ルートを使用した際は、延べ3回× 3本までとする。
※一部ルート(尾根)が重なることはOK

さらに
53本を達成するには、相応の”時間”を要するし、
「尾根・藪の滑降」がまったくできないことも想定する。
ゆえに、ランクを以下の様に設けての53本とする。(2024.12.12記)
A:超ゴキゲンなRIDGE!!
B:ゴキゲンなRIDGE!!
C:つぎいってみよーなRIDGE!!
D:ノーコンテスト

余談だが、北海道、東北、北陸、信越ですでに活躍する
BC SHORT®プレイヤー達のアテンドもうけつつ
ニッポンの素晴らしい雪山を紹介する。


※画像は北ア常念山脈。ここだけでも魅力的な
複数の尾根が展開している

▢WHY do we that?
地球における山は有限である…。
登山界においては、有史より偉大なクライマー達の
チャレンジにより、ヒマラヤをはじめとする
有名な高峰は、冒険という名のもとに
命と引き換えに達成されたきた。
すると、今度はそれをさらに定量的に
すなわちピークハントかける時間の多寡(時間的記録)
というタイムを競うこと、
そして、華やかなメインストリームの陰に
ひっそりにして厳然と
さらに強烈な個性をもって微笑む
未踏ルート(ルート・ライン的記録)へ
その偉大なる情熱はむかった。

▢AND then…
話はさらに展開するが
世界最高峰の知性が集う研究機関である
MITの石井裕氏は
ニッポンの知性や革新について
以下が必要と唱えた。

①出杭力(出る杭になって革新を生め)
②道程力(高村光太郎の、~ぼくの後ろに道はできる)
③造山力(①も②も、山(課題)があることで可。なければ自ら造れ)

今回のチャレンジは、この①②③を網羅する
山での新しいアクティビティでありスポーツの
可能性とビッグインパクトを将来的に秘めている。

▢SIDE tracked
メインストリームスポーツをはじめすべての物事は
こうして初めの一歩を “横道” にそれることで苦悩し
そして課題を生みチャレンジしてきたことで
ストリーム(潮流)を形成してきた。

また課題そのものをつくることを苦手とする
風潮のあるニッポン人は、
すべてが満たされた現代において
いまこそ横道にそれ課題をつくるべし、だと。
嘲笑と批判を乗り越えて
この山に世界においても新しい”アソビ”の一端となるべく
”53×RIDGEs が貢献できたら光栄である。

→参考動画/北ア前衛白沢天狗尾根でBC SHORT 2022
→参考動画/北ア厳冬期1DAYソロ常念岳 BC SHORT2017
→参考記事/BC SHORT®が生まれるまで

▢ご協賛募集中
yujin@fastlight-yama.com


BC SHORT®代表
田中 ゆうじん

【BCSHORT®体験会】のご案内/ 2024-25シーズン

Hello!!
BC SHORT®主宰の、田中ゆうじんでございます!

ことしもやっちゃいます!!
体験会☆2024-25

今シーズンは
なんと!?

いつもの長野県長和町の
ブランシュたかやまスキーリゾート
だけじゃなく?

おとなりの
ニッポン①寒い(本州①?)
菅平でもやります👏👏👏

講師は
写真の右にいる(左はあたくしゆーじん)
「ジョニー倉島」です!

ジョニーは長野県上田で生まれ育った
生粋の山&スキーの民で
生まれながらに?
修練を積んだSKIの “曲芸” は
他の追随をゆるさないほど
優雅で芸術的です😊

ぜひご参加ください!!
※詳細は、下のリンクからお願いします


BC SHORT体験会’24-25 (19)

北アルプス横通岳(2767M)稜線滑降 202405

常念山脈の主峰
常念岳(2857M)の北に座する
横通岳の稜線を
BC SHORTで滑降しました!

動画でみるより
キレ落ちてるので
トラバースをする際にやる
滑降スタイルで!

プレイヤー:田中ゆうじん

MOVIE

お知らせ【BC SHORT®体験会20240204sun開催決定】

スキーの素晴らしさは…
ゲレンデだけでも
いわゆるバックカントリーだけでもなく

雪のあるところなら
どこでも!

それを実現しつつあるのが
登って滑れる
99cmのBC SHORTなんです!

ぜひ体感してください!!

【2024 BC SHORT®体験会のお知らせ】

〇日時:2月4日(日)0900‐1500(午前・午後約2H。昼休憩含む)
〇集合:ブランシュたかやまスキーリゾート第二駐車場(MAPあり)
スキー場MAP
〇主宰:BC SHORT® 田中ゆうじん
〇内容:BC SHORTのシール脱着・ハイクUP・滑降の基礎を体験
〇対象:スキー中級程度。ゲレンデ緩斜面を問題なく降りてこれる。ボーゲンOK
〇料金:おとな13300円
内訳:講習費5000円/BC SHORTレンタル(板、シール)4000円/
リフト一日券(コースハイク権利を兼ねる)4300円
※シーズン券などリフト券をお持ちの方はかかりません

※テックブーツ 26.5cmが2セット・24.0cmが1セット、無料レンタル可です。
適応の方はお申込み時にメールにて「テックブーツレンタル希望」
の旨を記載してください。
また、ストックも無料にて貸し出し可能ですので、
ご希望の方はこちらも併せてお申し込み時に記載をお願いします。

※上記テックブーツサイズ適応外の方で、
アルペンブーツをお持ちの方は持参をお願いします。
スキーのビンディング調整のため、
お申込みの際にブーツサイズの記載をお願いします。
ブーツをお持ちでない方は、
会場スキー場にてアルペンブーツを別途実費にて
レンタル(3,000円)をお願いいたします。

※BC SHORTブンリン3点セットご購入者様は
講習費&レンタル費&リフト一日券無料
→→お得な3点セットはこちら
※BC SHORTご購入者様は講習費&レンタル費無料
※保険は各人の任意でお申込みください。

〇服装:スキーもしくは冬山登山のウェア・グローヴ・ヘルメット
※ヘルメットは当スキー場にて500円でレンタル有り
〇持ち物:
必携→ザック(水分、防寒着、財布、スマホ等入ればサイズ不問)
推奨→ゴーグルかサングラス・汗冷え対策用の着替え・ホッカイロ・補給食

〇当日の流れ
09:00集合(目印:ゴールドのハイエース)
スキー板や道具のセッティング終了目安09:30
09:30~リフトでゲレンデ内を何本か滑降後、
山頂よりシールハイク開始11:30まで
11:30 ランチタイム※レストランバウムにて自費
12:30~登れるトラックにてハイクUP・プチBC体験-14:30終了
※14:30~16:30はゲレンデ内にて各自自由行動OK

申込先/Mail:
yujin@fastlight-yama.com

白沢天狗の尾根へは
爺ヶ岳スキー場の第2駐車場(P2)
からのアクセスがよいです!

ことし(2022年4月)はもう雪どけがすすんでるので
アルバイト(シューズでコツコツすすむ)が
嫌じゃねければ
まだまだロング&スティープなリッヂを楽しめますよ

 

BC SHORT誕生の瞬間!? 北ア常念岳厳冬期単独1FA~ “BC SHORT”というNewモード vol.4/4

快晴の常念岳山頂(2,857m)は、
悲しいほどの静寂とAwesomeな景色を独り占め。
ただ、気持ちはその好環境とは裏腹につねにびんびんと、
ある種ストレスにも似た異様なテンションが半端ない。

しかしあれだ、ソロの山頂とは得てして地味なものよ……。

到達の喜びと”超緊張の瞬間”
の先延ばしは20分にとどめ、
ヘルメットを被り、ブーツのバックルを固定し、
スキーを履いた。
ショートSKIがこの壮大な景色のせいもあってか、
とくに短く感じる。

自分自身、スキー歴9年、山スキー歴9年。
北アルプスをはじめ、
頚城山塊(くびきさんかい)や小谷山域、
山岳スキーレースに里山と、
幾度となく自らがやるこの緊張と興奮のスキードロップの瞬間には立ち会ってきた。

今回のその緊張と興奮のボルテージは、
そのどれをも上回っていた、というよりも違っていた。
もしかしたら、このBC SHORTという自分で始めたスタイルでの
北アルプス厳冬期ソロで、
しかもこの山頂から尾根を滑降していくという前例がない
(実際はあったとしても記録としては見つからない)
ことへの、あの未知なる恐怖感。

それは、純白の雪面を、
誰かがつけたであろうトレース(足跡)なしに、
自らが未知なるルートを選びながらすすんでいくあの感じにも似ている。

いつか誰かが言った、
「絵を描くなら、キャンバスをはみ出せ」という言葉が、
45歳の自分を強烈に後押しする。

山頂から森林限界へとつづく街からもみえる
あの美しいリッヂライン(尾根)は、
降雪から数日間風に散々叩かれ、
一部をのぞいてほとんどがいわゆるシマリ雪。
春のザラメ雪ほどで好みではないが悪くない、
滑れるはずだ…。

ええい、今夜も必ずウマイBEER飲んでやるぜ!

山頂から右へ切れ落ちる稜線と岩の間にある
1m幅のトラックを、スルスルと真っすぐSKI DOWN。

1ターン目、2ターン目、よし悪くない!!

常念小屋との分岐から前常念岳へとつながる尾根に進路を変える。
今回は、尾根から登り同尾根を滑る。
いわゆる、”Climb up to a ridge and Ski down the ridge”
という自分が提唱する”BC SHORT”を代表する典型的スタイルだ。
自分が登ってきたトレースを例外をのぞいて再びなぞる滑降なので、
視界が良ければルートファインディングは難しくはない。

幅広のridgeや、すこし鋭いridge lineを街に向かって滑降する。
冬はアイゼンでしか歩いたことのないこの尾根を、
SHORT SKIで滑降する滑稽さ。
ターンを刻むごとに高度をぐんぐん下げていくこのスキーの妙味。
四季をとおして60回以上は登ってきた
このMt.Jonen-dakeでの初めての体験…。

緊張と興奮が綯い交ぜになった脳は、
もう完全にトランス状態。
さっきまでいた山頂が振り返るたびにどんどん遠くなっていく情景。

今夜はウマイBEER決定だ。

FOOOOOOOH!!

思わずでる雄叫び。

興奮状態の男が再び冷静さを取り戻したのは、
往路の歩行で抜け落ちたポイントにて、
再びこんどはスキーで落ちたことだ。
貧祖な学習能力が露呈する瞬間である。

春によく滑る北側大斜面で一気に高度を落として、
トラバースライドをすれば尾根の先でルートに復帰できるし、
時間も短縮でき美しい滑降ラインとなる。

しかし、この日は転倒のリスクを最大限に考慮し
前常念の難しい岩稜直下からスキーを脱いで高度を落としていった。
(※訂正、じっさいは前常念直下からさらにその先のピークまでスキーは履いたまま)

しかしこいつがまたいやらしい。
歩行してても足のすくむスティープ(急斜面)。
スキーでも瞬間に2ターンするだけなのに、
死の匂いが漂うのだ。

ウマイBEER…、いやいや今回は十分に飲めるはずだ、
とエクストリームに後ろ髪を引かれる自分をいなす。

標高約2,200mの森林限界のボーダーまでは、
再びスキーでの滑降で高度を下げた。
まだまだ先は長いし標高もあるのに、このうえない安堵感だ。
この先は、以前なんども徹底してヤラレた
木立ちとアップダウンの”SKI殺し”の
長いダウンヒルが待っているにもかかわらず。

ただもうそんなことはどうでも良く、
ただただ順当に降りていける自信が、
なぜだかあったようだった。

ヒールフリーでおもに滑降した。
自撮りの動画みていても、
なんというか粗野な滑りかた極まりないが(笑)、
カッコ良く滑ることは、
山でのSKIがもっと速く安全にできるようになってからの
テーマだと思うし、そうなれば、

自然と身についてくることだとも…。

須砂渡の林道ゲートを
夜中の2時6分に出発してから15h10min後、
ショートスキーを背負ったブーツスタイルでゴールした。
もちろん、いつもの「もう山は当分いい」の心境も充分にある。

なんて悦に入っていると、あらたなことが判明した。

じつはこのタイム、
4年前にやった2013年の自分の13h25minとくらべても2h近く遅い。
もちろん、雪が少ないのでその分迂回をする林道の多用やロスト、
雪質やソロでのラッセル、
そしてソロなのでペースがゆっくり(自分の場合)、
また撮影の手間といったロスはあるが、いかがなものだろう?

さらにおおきな関心事はなんといっても下山タイムだ。

2013年は4h25minで、今回はなんと4h40minだと!?
あの、スッコロビながら無残に降りてきたときよりも、

15分も遅いとは……。

嗚呼、BC SHORT~(泣)

※この事実が判明したのはこれを書いている2018年2月のこと。
※また、この日は林道に雪がないので
下山時もブーツで歩いたりしたことから、
時間的な差異をくらべるのはすこしナンセンスでもある。

よし、今回もあの”心の技術”をつかってつぎへいくとする(笑)

とにかく、
まだまだこのスタイルで行ってみたいセクシーなRIDGE LINEは、
数多くあるのだ。

【おわりに】

最後まで読んでくださりありがとうございました。
この”BC SHORT”などと、
自らが勝手にネーミングし独り滑り出してから早3シーズン目に入りました。

基本、尾根を登って尾根を滑ってくるこのスタイルは、
雪崩リスクが低く、
なおかつ長いスキーではなかなか滑らせてくれない、
密集した木立ちをもわりと滑ることが出来るスタイルだと
やるたびに実感してます。また、

テクニックをさらに磨けば、
残雪期にスノーシューや冬靴でのみ行けるルートが、
このスタイルでも行けるはずだと思ってます。
いや、もはや残雪期という括りさえないのかもしれません。

BC SHORTで、常念山脈縦走1DAY、
東鎌尾根と槍沢経由の安曇野から槍ヶ岳1DAY、
稜線の幕営を基点に、たくさんの尾根をラウンドトリップ……。

同じSKIでも長いものとは
ここまで行けるエリアやルートが違ってくるし、
むしろ広がっていると言って良いでしょうか。

行ける山域やルートが増えたことは、
本当に嬉しいことです。

いっぽうで、
私の趣向する登山スタイルには
1DAYが圧倒的におおいのですが、
それは山岳スキーレースや記録的なアルパイン登山などによって進化した、
軽量マテリアルのお陰でもあります。

わたしの認識では、常念岳厳冬期登山一つとっても、
よほどの健脚や山スキー上級者という超例外を除いて、
重荷と幕営の2DAYSが一般的です。
もちろん、”うえ”で幕営するアルパイン上級者は敢えてそれを選択してるのですが、
それでも厳冬期1DAYという選択肢が増えたことは、
日本のアルプスにも登山スタイルが多様化してきた
証左でもあると思うんですね。

わたしは飽き性なとこがあるので、
それっていいなぁ~って思います(笑)

もちろんその裏で、
スキー技術の研鑽、道具のチョイス、日頃のトレーニング、
経験や知識にハートといったものがなくてはなりません。

そのうえで、
雪山におけるボーダレスでミックスな登山スタイルでもある
このBC SHORT。
今後さらに発展させつつ、
業界において一つのアクセントにでもなれば光栄でございます。

暖かな2月の松本にて(2018)

田中 ゆうじん

THANK YOU///

BC SHORT誕生の瞬間!? 北ア常念岳厳冬期単独1FA~ “BC SHORT”というNewモード vol.3/4

【BC SHORTが生まれた瞬間】(写真・文:yujin)

ときは2018冬、ところは北アルプスのおひざ元、松本…。

家のすぐ前を一時間に一本の頻度で大糸線が通り過ぎる。
未明の始発ともなると、凍った電線とパンタグラフとの摩擦からか、
「シューッ、シューッ」と火花を散らす音は、
すっかり閉ざされた厳冬期のいわば風物詩。

前回の「BC SHORTが生まれるまで
その2」からおよそ一年が経ってしまった。

自分事だが、一日1.5食平均の生活がもう15年くらいつづいている。
昼には食べてもオニギリ一つ、
夜はBEERとWINEと好きなものを好きなだけという食事スタイルである。
ただ、二人の子供もうえは高校生と成長するにつれ、
食べる量も増えれば好みもあるので、
自分が好きなものだけとはさすがにいかず、
週5で夕食当番をしている身として献立にはけっこう気を遣っているのだ。

ちなみに昨夜は、豚ひき肉と春雨とネギの炒め物に漬物、
そしてご飯に味噌汁。
あと、オメガ3系の良質な油はなるべく摂るようにしている。
たとえば、亜麻仁オイルやエゴマ油。

人間は、良質の油と水と腸が大事だとおもっている!

良質な油を摂って脂肪を燃焼させやすい体にすることと、
腸が喜ぶ食生活をすること。

話が逸れたついでに触れておくとすると、
作シーズンは山仲間からいただいた野生のシカ肉やイノシシ肉を焼肉にしたり、
またはスーパーで手に入れた牛肉といっしょに
燻製にしたりしたものをザックに忍ばせ、
あとは水だけ持って北アルプスの後立山連峰を縦走したりした。
脂肪を効率よく燃焼させてエネルギーとして使う、
ファットバーニングの身体に興味がわいたからだ。

ある説によれば、
そもそも人間の体は糖質をエネルギー源としてつくられていないそうである。
人類400万年もの間、じつは体に蓄えた脂質をエネルギー源として生きてきた。
穀物を栽培してその糖質からエネルギー得るようになったのは、
今からたった1万年前ということ。

現代の精神的なものをふくめたあらゆる病気、肥満などが、
それら砂糖や炭水化物を減らすことで改善されるデータもあるほどだ。

こうして考えると、
わたしたちは、もはや大洗脳社会に生きているといってもいいだろうか。

大事なのは、あらゆる情報を取捨選択する術を身につけ、
なおかつ自分で考えて試してみることだと思っている。
それには、山のような精神や体が研ぎ澄まされるフィールドはもってこいである。

先の水と燻製の話にもどるが、いやはや不思議というかなんというか、
登り返しで力が入らなくなってくるなどまだまだ検証の余地はたくさんあるが、
実際は水だけで10hは行動できたということ。
しかも、消費エネルギーが顕著な山の縦走だ。
まだまだ普段の食生活をただしていけば、さらに動けるはず。

と言いつつも、自分自身、お米が大好き。
山にときおり持っていくオニギリや、
夕食に少量だけどいただく白米はやはり外せない。
正月の雑煮なんて大好物である。
今後もバランスを大事に美味しくいただいていこうと思っている。

また、文章を書くのはどうしても空腹を感じるので、
毎朝飲んでるネパール珈琲に、
グラスフェッドのギー(ないときはMCTオイル)を入れて楽しんでいる。

というのは空想で、ネパール珈琲を切らしてるので、
最近はもっぱら長らくお世話になってきたゴールドブレンドだ(笑)

余談だが、ネパール珈琲とは、
ご縁があって文字通りネパールに住む生産者から、
今後YAMANOVA(山や冒険をテーマとしたコミュニティ)
が直接に取り引きをして、販売するという素敵なプロジェクトである。

予想どおり前置きがながくなった。
さて、BC SHORTの話題。

やや大げさなタイトルだが、
ええい遠慮せず書いてやれい~!とばかりに、
「BC SHORTが生まれた瞬間」などと見出しをつけてみた。
結果からいうと、やり始めて2シーズン目である2017年2月に、
厳冬期常念岳ソロBC SHORTを無事に達成した。
その日を、「BC SHORTが生まれた瞬間」とさっき決めた(笑)

その日は晴天でまたとない厳冬期(2月までそういうらしい)の
ラストチャンスだった。
距離は、安曇野にあるほりで~湯の先の閉ざしている林道ゲートからスタートし、
常念岳東尾根をひたすら詰める山頂の往復約22㎞。
累積標高差は±2,100m。

ソロではペースが落ちることがおおいので、
4年前の0300スタートより一時間早めた0200スタートとした。
ゲート先からは例年雪があるのでスキー&シールでのハイクアップで始めるのだが、
あいにく雪が少なく、ブーツでそのまま尾根の取りつきまで歩き出す。
ところが、予想外に融雪がすすんでいたので、
朝令暮改よろしくさらに林道を歩き、まゆみ池の上の林道から東尾根に合流する。
じつは、このとき林道ショートカットで谷筋をつめたときに猛ラッセル
(深い雪のなかを自力で登る)に遭ったかとおもえば、
分岐を間違えたりで30分ほどロスをする。

すくなくとも、自分にとっては里山でブンブンSHORT SKIしてるだけじゃなく、
ビッグマウンテンもやれることを証明するべく挑んだ、
BC SHORTでの厳冬期常念岳1DAYという未知のチャレンジだったし、
このスタイルで一つの結果を残したいとそれまで孤軍奮闘やってきた。
想定外はつきものとはいえ、
たとえ30分であろうとタイムロスはけっこうなネガティヴ要素である。

Tree line(森林限界)約2,200mまで、
経験から5hくらいで行ければいいさ…
とあらゆる邪念といっしょに”いなす”ことにする。

余談2だが、わたしはひどい花粉症で、
もう20年以上まえだと思うが、あるときこの“いなす”ことをおぼえてからは、
まったくマスクもなにもせず花粉症から解放された。

もちろん、涙目でクシャミの波状攻撃にたまに襲われることがあろうと、
わたしは花粉をいなすことに成功しているとおもっている。
“いなす”って心の技術だな(笑)

じつは、この2週まえに当東尾根をやはり同スタイルのソロで試していた。
執拗なラッセルと中途半端な気概もあっただろうか、
目標の1,955mの尾根上にある小ピーク手前で引き返すという体たらく。
ただし、木立ちと急斜面の長い尾根を圧倒的な速さで
SKI DOWNが可能であると経験できたことは、相当な自信につながっていた。

しかも、ショートSKIに付けているテックビンディングでも、
ヒールフリー(踵を固定しない)で滑って、
小さな登り返しもなんなくこなせることはすでに実証済みだ。
なんども同スタイルで入ってきた里山や北アの前山である
鍋冠山でのトレーニング経験はだてじゃねえぞ(笑)

さて、ソロラッセルと雪でかしがったいくつもの枝雪をストックで落としながら、
また、シールパーツの落とし物に戻ったりとロスしつつも、
森林限界に約6h半で到達した。
最速記録よりもすでに90分遅れていた。
ただ、以前より1h早くスタートしたことで気持ちに余裕はあった。
ここまでは、言ってみればおもに体力と根気だけでこれる前哨戦である。

ここからの、
木はなく風に叩かれた艶やかな山頂へとつながるリッヂライン(尾根)は、
街から眺めるには本当に美しいが、
ひとたび風が吹けば−40℃を優に下回る厳しい世界でもある。
幸いこの日の風は穏やかで、視界も良好、
最高のコンディションが整っていたのだが、やはり厳冬期ソロは甘くない。

トラバース(尾根上の小ピークや岩稜などを避けて通るために迂回すること)
する雪面は硬く、一歩一歩スキーアイゼンとスキーのエッヂを食い込ます。
一度バランスを崩せば真っ白な硬い急斜面は無情の滑落を黙ってみるのみで、
大ケガじゃ済まないだろう。ソロでもとくに危険なときはこんなときだ。

パートナーがいればアンザイレン(ロープで確保しあう)や、
万一滑落してもその後の対処がまだましだが、ソロではそれができない。
足のスパイクを一たびミスしたときのリカバリーは、
左右のストックではまず出来ないし、
山側にピッケルを替わりに持ったとしても、
スキーのハイクアップがぎこちなく難しい。

面倒でも、命が惜しければブーツアイゼンとピッケルスタイルに変えるか、
パートナーと来ることだ。
ミスの初動から第一次のリカバリーできる術を持たないことは、
リスク対策が希薄ということでもあるからだ。

でも、これは持論だが、
そんな超集中状態にあるときの技術は普段よりも格段にレベルが高いし、
技術や体力や知識や経験は、
装備に代わるものとしてじつはおおきく寄与していると思うのだ。

ハイクアップの技術に自信はあったが、
さすがにこの後、ウィペット(BD社のストックで、
グリップの上にピッケル機能がついたもの)を1本購入した。

森林限界以降の幾度とあったトラバースはこの日の核心だった。
これは結果論だが、
経験上ラッセルや見えない落とし穴のおおい
この東尾根や前常念から山頂への馬の背尾根は、
この日はブーツアイゼンがもっとも効率よい選択肢であった。

要するに例外をのぞいて、
スキーを履いてなくとも雪面に足が埋まらないほど
硬い絶好のコンディションであったということだ。

スタートから10h10min後の1216PM、
SHORT SKIをザックに背負ったスタイルで、
2,857mの常念岳山頂でセルフタイマーのボタンを押した。

厳冬期北アルプス山頂への到達から
SHORT SKI DOWNという未知の体験まで、
パノラマの絶景と最高の天気ということも相まって、
20分を要した。山頂からみえる自分が住む町がみえる。

あそこまで、どうしても無事に帰りたい…。
成功して、帰りに贅沢にラーメンを食って、
いつものSEIYUでプレミアムモルツを買って帰ってやろうと思った。

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