BC SHORT Back Country Short Ski Mountaineering

カテゴリー: BC SHORT

“53× RIDGEs” ~前代未聞のユニークなチャレンジ?!

これは
BC SHORT®のパイオニア/主宰である
田中ゆうじんが
ニッポンの雪山の「尾根(RIDGE) x 53本」を
1シーズンで達成する
前代未聞でユニークなチャレンジ
(2024.11.27 記)

はじめに書いてしまうが…
これは、ヤブ&尾根をSKIダウンできるか?
への、チャレンジングな検証でもある
(2024.12.13補記)

▢WHAT’s the “53× RIDGEs”
BC SHORT®(99cm規格のバックカントリー
向けに製作したオリジナルのスキー板で
山を登り降りするスポーツ・アクティビティ)
主宰の田中ゆうじんが、
スタートしてから10周年をむかえる
2024‐25シーズンに
主流規格の長いSKIに不向きかつ
非常識でだれもが選択肢でさえなかった
「尾根滑り+藪滑り」がBC SHORTなら可能
という特異性を生かし
さらに自身の年齢と掛けて
53本の尾根を登って+滑降する
チャレンジである。

▢CONTENTS/rules
53本を効率的に達成するというよりは、
北アの厳冬期で、標高差2200Ⅿもあれば
残雪期の里山の支尾根で標高差100Ⅿとか?
その尾根の持つ魅力や美しさなど、
妙味のある尾根を
主観で選別することに重点をおく53本とする。
この場合、SKIダウンの起点となるポイントは
大小ピークに限らず、適度なポイントでもOK。
(2024.12.16補記)

また、一本の尾根の達成に要する時間は問わないし、
ゲレンデ横の尾根(サイドカントリー)や
その他アクセス効率をあげることが可能な山であれば、
リフトやe-bike等を使用することもあるし、
登りにおいては、尾根以外に
別ルートを選択することもありとする。
さらに同ルートを使用した際は、
延べ3回× 3本までとする。
※一部ルート(尾根)が重なることはOK

さらに
53本を達成するには、相応の”時間”を要するし、
「尾根・藪の滑降」がまったくできないことも想定する。
ゆえに、ランクを以下の様に設けての53本とする。

A:超ゴキゲンなRIDGE!おすすめ
B:ゴキゲンなRIDGE!参考にしてネ
C:つぎいってみよーなRIDGE!おすすめしない
D:ノーカウント(この場合は記録しないこともある)
(2024.12.13 補記)

余談だが、北海道、東北、北陸、信越ですでに活躍する
BC SHORT®プレイヤー達のアテンドもうけつつ
ニッポンの素晴らしい雪山を紹介する。


※画像は北ア常念山脈。ここだけでも魅力的な
複数の尾根が展開している

▢WHY do we that?
地球における山は有限である…。
登山界においては、有史より偉大なクライマー達の
チャレンジにより、ヒマラヤをはじめとする
有名な高峰は、冒険という名のもとに
命と引き換えに達成されたきた。
すると、今度はそれをさらに定量的に
すなわちピークハントかける時間の多寡(時間的記録)
というタイムを競うこと、
そして、華やかなメインストリームの陰に
ひっそりにして厳然と
さらに強烈な個性をもって微笑む
未踏ルート(ルート・ライン的記録)へ
その偉大なる情熱はむかった。

▢AND then…
話はさらに展開するが
世界最高峰の知性が集う研究機関である
MITの石井裕氏は
ニッポンの知性や革新について
以下が必要と唱えた。

①出杭力(出る杭になって革新を生め)
②道程力(高村光太郎の、~ぼくの後ろに道はできる)
③造山力(①も②も、山(課題)があることで可。なければ自ら造れ)

今回のチャレンジは、この①②③を網羅する
山での新しいアクティビティでありスポーツの
可能性とビッグインパクトを将来的に秘めている。

▢SIDE tracked
メインストリームスポーツをはじめすべての物事は
こうして初めの一歩を “横道” にそれることで苦悩し
そして課題を生みチャレンジしてきたことで
ストリーム(潮流)を形成してきた。

また課題そのものをつくることを苦手とする
風潮のあるニッポン人は、
すべてが満たされた現代において
いまこそ横道にそれ課題をつくるべし、だと。
嘲笑と批判を乗り越えて
この山に世界においても新しい”アソビ”の一端となるべく
”53×RIDGEs が貢献できたら光栄である。

→参考動画/北ア前衛白沢天狗尾根でBC SHORT 2022
→参考動画/北ア厳冬期1DAYソロ常念岳 BC SHORT2017
→参考記事/BC SHORT®が生まれるまで

▢ご協賛募集中
yujin@fastlight-yama.com


BC SHORT®代表
田中 ゆうじん

北アルプス横通岳(2767M)稜線滑降 202405

常念山脈の主峰
常念岳(2857M)の北に座する
横通岳の稜線を
BC SHORTで滑降しました!

動画でみるより
キレ落ちてるので
トラバースをする際にやる
滑降スタイルで!

プレイヤー:田中ゆうじん

MOVIE

 

北海道の「山のお兄さん」作成の動画です!
道東の武佐岳を、BC SHORTした動画です。

お楽しみください!!

白沢天狗の尾根へは
爺ヶ岳スキー場の第2駐車場(P2)
からのアクセスがよいです!

ことし(2022年4月)はもう雪どけがすすんでるので
アルバイト(シューズでコツコツすすむ)が
嫌じゃねければ
まだまだロング&スティープなリッヂを楽しめますよ

 

BC SHORT誕生の瞬間!? 北ア常念岳厳冬期単独1FA~ “BC SHORT”というNewモード vol.4/4

快晴の常念岳山頂(2,857m)は、
悲しいほどの静寂とAwesomeな景色を独り占め。
ただ、気持ちはその好環境とは裏腹につねにびんびんと、
ある種ストレスにも似た異様なテンションが半端ない。

しかしあれだ、ソロの山頂とは得てして地味なものよ……。

到達の喜びと”超緊張の瞬間”
の先延ばしは20分にとどめ、
ヘルメットを被り、ブーツのバックルを固定し、
スキーを履いた。
ショートSKIがこの壮大な景色のせいもあってか、
とくに短く感じる。

自分自身、スキー歴9年、山スキー歴9年。
北アルプスをはじめ、
頚城山塊(くびきさんかい)や小谷山域、
山岳スキーレースに里山と、
幾度となく自らがやるこの緊張と興奮のスキードロップの瞬間には立ち会ってきた。

今回のその緊張と興奮のボルテージは、
そのどれをも上回っていた、というよりも違っていた。
もしかしたら、このBC SHORTという自分で始めたスタイルでの
北アルプス厳冬期ソロで、
しかもこの山頂から尾根を滑降していくという前例がない
(実際はあったとしても記録としては見つからない)
ことへの、あの未知なる恐怖感。

それは、純白の雪面を、
誰かがつけたであろうトレース(足跡)なしに、
自らが未知なるルートを選びながらすすんでいくあの感じにも似ている。

いつか誰かが言った、
「絵を描くなら、キャンバスをはみ出せ」という言葉が、
45歳の自分を強烈に後押しする。

山頂から森林限界へとつづく街からもみえる
あの美しいリッヂライン(尾根)は、
降雪から数日間風に散々叩かれ、
一部をのぞいてほとんどがいわゆるシマリ雪。
春のザラメ雪ほどで好みではないが悪くない、
滑れるはずだ…。

ええい、今夜も必ずウマイBEER飲んでやるぜ!

山頂から右へ切れ落ちる稜線と岩の間にある
1m幅のトラックを、スルスルと真っすぐSKI DOWN。

1ターン目、2ターン目、よし悪くない!!

常念小屋との分岐から前常念岳へとつながる尾根に進路を変える。
今回は、尾根から登り同尾根を滑る。
いわゆる、”Climb up to a ridge and Ski down the ridge”
という自分が提唱する”BC SHORT”を代表する典型的スタイルだ。
自分が登ってきたトレースを例外をのぞいて再びなぞる滑降なので、
視界が良ければルートファインディングは難しくはない。

幅広のridgeや、すこし鋭いridge lineを街に向かって滑降する。
冬はアイゼンでしか歩いたことのないこの尾根を、
SHORT SKIで滑降する滑稽さ。
ターンを刻むごとに高度をぐんぐん下げていくこのスキーの妙味。
四季をとおして60回以上は登ってきた
このMt.Jonen-dakeでの初めての体験…。

緊張と興奮が綯い交ぜになった脳は、
もう完全にトランス状態。
さっきまでいた山頂が振り返るたびにどんどん遠くなっていく情景。

今夜はウマイBEER決定だ。

FOOOOOOOH!!

思わずでる雄叫び。

興奮状態の男が再び冷静さを取り戻したのは、
往路の歩行で抜け落ちたポイントにて、
再びこんどはスキーで落ちたことだ。
貧祖な学習能力が露呈する瞬間である。

春によく滑る北側大斜面で一気に高度を落として、
トラバースライドをすれば尾根の先でルートに復帰できるし、
時間も短縮でき美しい滑降ラインとなる。

しかし、この日は転倒のリスクを最大限に考慮し
前常念の難しい岩稜直下からスキーを脱いで高度を落としていった。
(※訂正、じっさいは前常念直下からさらにその先のピークまでスキーは履いたまま)

しかしこいつがまたいやらしい。
歩行してても足のすくむスティープ(急斜面)。
スキーでも瞬間に2ターンするだけなのに、
死の匂いが漂うのだ。

ウマイBEER…、いやいや今回は十分に飲めるはずだ、
とエクストリームに後ろ髪を引かれる自分をいなす。

標高約2,200mの森林限界のボーダーまでは、
再びスキーでの滑降で高度を下げた。
まだまだ先は長いし標高もあるのに、このうえない安堵感だ。
この先は、以前なんども徹底してヤラレた
木立ちとアップダウンの”SKI殺し”の
長いダウンヒルが待っているにもかかわらず。

ただもうそんなことはどうでも良く、
ただただ順当に降りていける自信が、
なぜだかあったようだった。

ヒールフリーでおもに滑降した。
自撮りの動画みていても、
なんというか粗野な滑りかた極まりないが(笑)、
カッコ良く滑ることは、
山でのSKIがもっと速く安全にできるようになってからの
テーマだと思うし、そうなれば、

自然と身についてくることだとも…。

須砂渡の林道ゲートを
夜中の2時6分に出発してから15h10min後、
ショートスキーを背負ったブーツスタイルでゴールした。
もちろん、いつもの「もう山は当分いい」の心境も充分にある。

なんて悦に入っていると、あらたなことが判明した。

じつはこのタイム、
4年前にやった2013年の自分の13h25minとくらべても2h近く遅い。
もちろん、雪が少ないのでその分迂回をする林道の多用やロスト、
雪質やソロでのラッセル、
そしてソロなのでペースがゆっくり(自分の場合)、
また撮影の手間といったロスはあるが、いかがなものだろう?

さらにおおきな関心事はなんといっても下山タイムだ。

2013年は4h25minで、今回はなんと4h40minだと!?
あの、スッコロビながら無残に降りてきたときよりも、

15分も遅いとは……。

嗚呼、BC SHORT~(泣)

※この事実が判明したのはこれを書いている2018年2月のこと。
※また、この日は林道に雪がないので
下山時もブーツで歩いたりしたことから、
時間的な差異をくらべるのはすこしナンセンスでもある。

よし、今回もあの”心の技術”をつかってつぎへいくとする(笑)

とにかく、
まだまだこのスタイルで行ってみたいセクシーなRIDGE LINEは、
数多くあるのだ。

【おわりに】

最後まで読んでくださりありがとうございました。
この”BC SHORT”などと、
自らが勝手にネーミングし独り滑り出してから早3シーズン目に入りました。

基本、尾根を登って尾根を滑ってくるこのスタイルは、
雪崩リスクが低く、
なおかつ長いスキーではなかなか滑らせてくれない、
密集した木立ちをもわりと滑ることが出来るスタイルだと
やるたびに実感してます。また、

テクニックをさらに磨けば、
残雪期にスノーシューや冬靴でのみ行けるルートが、
このスタイルでも行けるはずだと思ってます。
いや、もはや残雪期という括りさえないのかもしれません。

BC SHORTで、常念山脈縦走1DAY、
東鎌尾根と槍沢経由の安曇野から槍ヶ岳1DAY、
稜線の幕営を基点に、たくさんの尾根をラウンドトリップ……。

同じSKIでも長いものとは
ここまで行けるエリアやルートが違ってくるし、
むしろ広がっていると言って良いでしょうか。

行ける山域やルートが増えたことは、
本当に嬉しいことです。

いっぽうで、
私の趣向する登山スタイルには
1DAYが圧倒的におおいのですが、
それは山岳スキーレースや記録的なアルパイン登山などによって進化した、
軽量マテリアルのお陰でもあります。

わたしの認識では、常念岳厳冬期登山一つとっても、
よほどの健脚や山スキー上級者という超例外を除いて、
重荷と幕営の2DAYSが一般的です。
もちろん、”うえ”で幕営するアルパイン上級者は敢えてそれを選択してるのですが、
それでも厳冬期1DAYという選択肢が増えたことは、
日本のアルプスにも登山スタイルが多様化してきた
証左でもあると思うんですね。

わたしは飽き性なとこがあるので、
それっていいなぁ~って思います(笑)

もちろんその裏で、
スキー技術の研鑽、道具のチョイス、日頃のトレーニング、
経験や知識にハートといったものがなくてはなりません。

そのうえで、
雪山におけるボーダレスでミックスな登山スタイルでもある
このBC SHORT。
今後さらに発展させつつ、
業界において一つのアクセントにでもなれば光栄でございます。

暖かな2月の松本にて(2018)

田中 ゆうじん

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